記事タイトル:映画・番外】「黒部の太陽」

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お名前: 四角五角
 今話題?の石原裕次郎の映画を観てきました。映画とは関係無いけれど、よくあれだけの大判振る舞いを石原プロは出来るものだと感心しますね。
 観てきた映画はプロジェクトXで有名な黒部ダムを題材にした「黒部の太陽」。三船敏郎と石原裕次郎と言う新旧2大スター共演という当時ではものすごい評判の映画です。

 内容は、黒四ダムを作るための偉材搬入トンネルを掘り抜く男達のドラマ、と簡単に言えばこれだけの事です。公共事業に自然環境が問題視されている現代にこの作品を見ると「むむむっ・・・?」と考えてしまう内容といえば内容です。でも、当時の時代を考えれば中世ヨーロッパ人が森を破壊する事で人類の地上における支配性を獲得したのと同じ様なもので、大規模なダム建設は日本の夜明けを示唆する重大な事業だったのでしょう。ただ、どうしても重機で木々を倒すシーンや大型ダンプが何台も連なって土砂を積んで走り去ってゆく姿は現代人たる私には複雑な光景でした。
 とまれ、純粋にこの作品の感想です。日本で上映した時は3時間を越す超大作だったらしいですが、今回の上映会では海外上映用に短縮した2時間チョイの物でした。でも、スクリーンに映る広大な黒部峡谷と、トンネル工事での過酷な労働環境。それに、戦時中に作った黒三ダムとの因果。それにともなう人間関係。まず、非の付け所がないように感じます。まあ、1時間近く短縮しているから物足りなさを感じるきらいもありましたが、現代映画には無い迫力を感じました。何よりも三船敏郎が格好良い!裕次郎もスクリーン映えする俳優かもしれないけれど、世界の三船敏郎の重厚さの前には影が薄く感じました。最後に向かい掘りとのトンネルを貫通させた男を裕次郎にあてがったあたりはちょっといやらしさを感じました。まあ、こういうシーンがないと三船の影で存在感が小さいままで終わってしまいそうだから仕方ないかな?
 また映像技術の面ですが、今ではCGによって容易に作ることが出来るトンネル内の洪水シーン。しかし、CGのシの字も無いあの時代で現場スタッフが苦心惨憺したことが分かるような見事な洪水シーンを私はスクリーンに見ました。実際にかなりの水流の中に飲み込まれる裕次郎と三船達俳優。裕次郎なんて本当に右腕を骨折したのだから、撮影時の真剣さは現代の比ではない様に思う。

 この作品ではなく「栄光の5000キロ」の撮影時に裕次郎が語った言葉ですが「スタッフや役者が興奮しない映画で、観客が興奮するわけが無い」と言ったそうです。まさに言い得て妙な言葉ですね。

 石原裕次郎は「黒部の太陽」と「栄光の5000キロ」は映画館のスクリーンで見る作品だと主張し、ついにビデオ化を許さなかった作品です。確かに「黒部の太陽」は大きなスクリーンで見て初めて楽しむ事が出来る映画かもしれませんね。

 蛇足
 最初にも書きましたが、現在とあの時代とのギャップがありすぎて少々映画を100%楽しむ事が出来なかったです。なにせ癌が治療不可能な病気として言われてましたからねf^^;;むしろ現代人が無条件に楽しめる映画は「栄光の5000キロ」の方かもしれません。キリマンジャロを背景にアフリカの荒野を疾走するシーンをテレビで見ましたが、あれをスクリーンで観たかった・・・!!どこかで、また上映してくれないかな。絶対に観に行くのに。

 評価
 ☆×3>感動![2003年07月12日22時09分]
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